(原著論文)

数的推論に弱さがみられた小学校低学年の児童に対する算数文章題の指導

要 旨:本研究では,数的推論に弱さがある小学校2年生を対象に,算数文章題の解決に関する個別指導を行なった。指導前にKABC-Uの習得尺度による学力評価を行った結果,算数尺度が最も低く,「計算」に比べて「数的推論」が有意に低かった。数的推論能力に弱さのある本児に対し,問題文が表す状況について具体物操作や描画により外的に表象化して理解することを促す指導を行ない,その有効性について検討した。指導の結果,文章題の正答数は増加し,文章題に取り組む際の方略使用に変化が見られた。指導前はキーワードのみに着目して立式し解答していたが,指導後には自ら描画して式を考えるなど,問題解決において表象化方略を自発的に使用する様子が確認された。表象化方略を促す指導は,問題の理解過程を補助するだけではなく,解答後の見直しでも活用可能である。本実践により,数的数論の弱さがある児童に対する外的表象化の方略指導の有効性が示された。

キーワード:数的推論   算数文章題   外的表象化   小学校低学年



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