(原著論文)

成人期知的障害者の問題解決に関わる知的機能の特徴

− 田中ビネー知能検査の項目の分析を通して −


要 旨:本研究では,田中ビネー知能検査に含まれる項目の分析を通して,知的障害者の問題解決の遂行に関わる知的機能の特徴を明らかにすることを目的とした.
成人期知的障害者163名を分析対象として,田中ビネー知能検査に含まれる「操作」に関わる項目を基に,「操作」項目通過群と「操作」項目不通過群に分け,数量化III類を行った.その結果,「操作」項目通過群5領域,「操作」項目不通過群5領域を抽出した.平均通過率より,「操作」項目通過群は「同異点と文章の理解」等 ,「操作」項目不通過群は「比較・判断」領域の通過率が比較的低かった.よって,知的障害者の問題解決に関わる知的機能の特徴として,自ら観点を抽出して二つ以上の事物・事象の比較が困難であることが明らかになった.そのため,知的障害者が,問題解決が関わるとされる自己決定を遂行するためには,選択肢に関わる比較の観点を視覚的に提示するなどの支援が有効であることが示唆された.

キーワード:成人期知的障害者   問題解決   操作   田中ビネー知能検査



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