(実践研究論文)

「多層構造化授業案」が導く役割分担型チーム指導の有効性に関する研究
―バランス理論に注目して―


要 旨:O市立P小学校では,注意欠如多動症(ADHD)および自閉スペクトラム症(ASD)の診断を持つ小2A児の通常学級での学びを保障することを目的に,担任をはじめ特別支援教育支援員や通級指導担当教員らが協力をして国語科と算数科においてチーム・ティーチングを実施した。
 チーム・ティーチングの実施にあたってはO市域特別支援教育コーディネーターがチームリーダー的役割を果たした。具体的には,国語科において,誰が何を指導するのかという役割分担を明確にするために「多層構造化授業案」を考案し,指導者全員で内容の確認を行った。
 その結果,担任と特別支援教育支援員,通級指導教員ら三者の間に指導に対する責任性と意思疎通が生まれ,バランス理論における三者間の心理状態にポジティブなバランス均衡が生じる(F.Heider)ことにより,対象児童A児への各指導者の接し方に変化が生じ,通常学級で生き生きと授業に参加するA児の姿が見られるようになってきた。

キーワード:多層構造化授業案   チーム指導   バランス理論



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